« 刑事 | トップページ | 東京国際ブックフェア »

7月4日に生まれて

Born On The Fourth Of July
1989年/アメリカ (監)オリバー・ストーン
(演)トム・クルーズ キーラ・セジウィック トム・ベレンジャー  ウィレム・デフォー 
☆☆☆★★

412fjfq2dwl__ss500_

1946年7月4日、アメリカの独立記念日に生を受けたロン・コービック(トム・クルーズ)は、高校卒業後、強い愛国心と将来への希望を胸に海兵隊へ入隊し、ベトナムへと旅立つ。だが戦場は、彼の想像を遥かに超えた、凄惨たるものだった。民間人の村を誤射してしまったロンは、混乱のあまり部下を撃ち殺してしまい、敵の凶弾により、自身も下半身不随となってしまう。その後、故郷に帰ったロンを待っていたのは、高まりつつある反戦運動だった。誇りを持って帰国したつもりが、逆に憐れみと蔑みの目で見られる毎日に。ロンは徐々に自分を見失い、酒に溺れていく。ついに信頼していた家族からも疎外された彼は、メキシコへの孤独な一人旅に出るのだった・・・。

実在のベトナム帰還兵ロン・コービックの原作をもとした作品。脚本には本人も参加しています。この作品をもっと単純化してアクション映画にすると「ランボー」の第1作目になる。

ベトナム戦争も遠くなり、当時を肌で体感していない日本人にとって(私も幼かったのでほとんど記憶がない)この作品はアメリカ人にとってベトナム戦争とはどういう戦争だったのかを、表面的にでも伝えてくれる作品です。私も公開時、かなりのショックを受けました。

脊髄をやられ下半身不随(性的にも不能になる)になった彼を最初に待っていたのは、予算削減のため不衛生な環境の中、満足な介護も受けられない退役軍人病院でのひどい扱いだった。それでもリハビリを終了し、無事に故郷に帰った彼を待っていたのは、若者を中心に国をあげてまきおこっていた反戦運動の嵐。地獄の様な戦場の体験を理解してくれるのは同じ帰還兵だけ。友人の一人は精神を病んでしまっている。

酒に溺れる毎日になってロンは、ある日泥酔したあげく厳格なキリスト教徒である母親に汚い言葉を投げつけてしまう。

「俺のペニスと同じで、神は死んでしまってどこにもいやしないんだ!」

母親から絶縁され、父親の勧めでメキシコへ行った彼は、同じ境遇の帰還兵達と自堕落な生活を送っていたが、心の苦しみから逃れるためには現実と向き合わない限り救われないと悟った彼は帰国する。誤射で殺してしまった部下の家族のもとを訪れ真実を家族に話したロンは、帰還兵仲間とともに反戦運動へ参加するのだった・・。

145044__born_l

部下の墓を訪れるロン。

それまでアイドル路線できていたトム・クルーズの演技が素晴らしく、特に下半身不随になってからの演技は見るのが辛いくらいでした。反戦運動家になってから、突然4年の歳月がたち、著作も成功して有名人になった彼の姿がラストシーンなのですが、このあたりが説明不足で「え?」って感じなのが残念でした。著作を読むのが一番なのでしょうが、翻訳本は絶版です。

71png5d1enl__bo2204203200_pisitbsti

ベトナム戦争って何だったんだろう。真の愛国者(パトリオット)ってどういうもの?まだまだあまりにも知らない事が多い自分がはがゆいけれど、常にそういう疑問だけでも忘れない様にしたいです。

実際のロン・コービック(70年代当時)今もご健在の様です。

Rs22_0122t

|

« 刑事 | トップページ | 東京国際ブックフェア »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

軍人というと、日本ではとかくまゆをひそめられがちですが、アメリカでは国のために命をかける尊敬される仕事なのですよね…。とはいえ、戦争によって一兵士の受ける肉体的・精神的ダメージは、どのような力を持ってしても、救えるものではないと思います。
ベトナム戦争は私も小さくてほとんど記憶にないのですが、今も中東に兵士を送り続けているアメリカでは、こうしたことは過去の問題ではなく、今も直面している難しい問題なのだと思います。
こうした映画を通じて、人間の愚かしさを今一度見直さないといけないですね。

投稿: セレンディピティ | 2009年7月 9日 (木) 14時33分

セレンディピティ さん

今晩は。night

戦争に関して、政治に関して、人はそれぞれ意見なり信念なりがあると思うし、きっとこの世の中から戦争がまったくなくなる事は、未来永劫ない様な気もします。

私がアメリカの映画作品にいつも感心するのは、様々な問題を作品として発表し続けている事なんですよね。映画だけで深く学ぶ事はできなくても、人の目を開かせたり、注意を喚起するだけの力はあるでしょ。
それに私は人間個人の内面的なドラマが好きなので、ある環境におかれた個人が何を思い、どう行動していくのかにとても興味があります。そういう意味でも、この作品は色々と考えさせられる映画ではありました。flair

ただ最近そういう作品が減ってきたな~って感じてます。

投稿: ごみつ | 2009年7月 9日 (木) 21時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/523258/45578831

この記事へのトラックバック一覧です: 7月4日に生まれて:

« 刑事 | トップページ | 東京国際ブックフェア »