« 追悼 マイケル・ジャクソン | トップページ | 6月に見た映画 »

ゾラの時代 3 嘆きのテレーズ

Therese Raquin
1952年/フランス (監)マルセル・カルネ
(演)シモーヌ・シニョレ ラフ・ヴァローネ ジャック・デュビー  シルヴィー ローラン・ルサッフル
☆☆☆★★★

51blegc3iil__ss500_

ゾラ原作の「テレーズ・ラカン」の映画化作品。リヨンの裏町に暮らす主婦・テレーズ。毎日の生活に嫌気が差していた彼女の前に運転手・ローランが現れ、2人は愛し合う。次第に彼女は夫の存在が疎ましくなり…。

監督は「天井桟敷の人々」のマルセル・カルネ。実は私、カルネの作品を見るのはこれがはじめてです。以前ディズニー作品でご紹介した事がある、宝島社の名作2枚組DVD「宝島シネマパラダイス」で購入していた作品です。
http://tkj.jp/cinemaparadise/

原作はゾラの初期作品「テレーズ・ラカン」。映画は舞台を現代におきかえていますが、人間の心理は昔も今も変わる事はない。そのあたりは「居酒屋」と「ナナ」を読んでみて痛感した事でもありました。ストーリーはなかなかサスペンスフルで素晴らしい心理劇なのです。で、岩波文庫から出てる原作も読もうと思ったら版切れ中!岩波文庫は、会社の事情もあるのでしょうが、やたら品切れタイトルが多いんですよね~。しかもいわゆる名作が多いもんだからさ~、困るんですよ!「ファーブル昆虫記」も、昔きちんと読めなくて、仕方なく集英社の子供向けの読んだし。(これはこれで読みやすく素晴らしかったんですが)

岩波への文句はさておき(笑)、この映画はフランス映画のフランス映画らしい特徴と素晴らしさをすべて含んだ様な作品でした。主人公のテレーズを演じる若いシモーヌ・シニョレの憂いを含んだ表情と、静かな中に情熱を秘めた演技が素晴らしかったです。ストーリーに底辺に流れる不安の感情を、見事に表現した映像の文学の様な作品でした。それに1957年ルイ・マル監督の名作「死刑台のエレベーター」にも通じていく、フランス映画ならではの冷たいまでに写実的なミステリー表現に酔わされる作品でもありました。

Therese_raquin

ゾラの原作から、ストーリーは変更になっている様なのですが、列車内でテレーズの夫を殺害してしまう(原作ではボート)シーンからは、かなりの変更が施されている様です。2人を脅迫する水兵の存在も新しく加わったシチュエーションらしい。あ~、やっぱり原作と比べたかった!

思えばジェームズ・M・ケインの小説「郵便配達は二度ベルを鳴らす」と同じテーマの心理ミステリーがすでに19世紀にゾラによって描かれていた事を思うと、本当にいつの世も人間の心理と営みとは変わらないものなのだな・・と思わされずにはいられません。

若きシモーヌ・シニョレ

2241636128_6a7e131264

|

« 追悼 マイケル・ジャクソン | トップページ | 6月に見た映画 »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

ごみつさん、昨年はクロサワの年だったとおっしゃっていたけれど、
今年はゾラの年になりそうですね?
私は、ゾラの本も映画も見たことはないのですが、
ごみつさんの影響を受けて、ちょっと魅かれはじめています。(笑)
この映画も、見てみたくなりました…。
シモーレ・シニョレさん、ため息が出るくらい美しいですね。うっとりです。

投稿: セレンディピティ | 2009年7月 3日 (金) 02時11分

こんばんわpig

エミール・ゾラをあまり知らなかったのですが、ごみつ通信はお馬鹿な私にとってありがたいです

ルーゴン・マッカール叢書は背表紙しか見たことがなくて、この人の作品はどれがどーなってるのかやっとわかりましたsweat01

調べたら岩波品切れでしたね…嗚呼岩波。

「テレーズ・ラカン」も知らなかった私です。
フランスカブレなら観ておかないと~pig

投稿: ripple | 2009年7月 3日 (金) 23時24分

セレンディピティ さん

今晩は。
残念ながら、「ゾラの時代」は次回最終回を迎えます。
乞うご期待。(笑)

この映画はけっこうお勧めです。ミステリーっぽいところもあるので、ストーリーそのものも楽しめます。
テレーズの夫は、マザコンで子供っぽくて、凄いダメ男なんですが、殺されちゃうのはかわいそうでした。bearing
あ~あ、原作が読みたいな~。とりあえず古本で探すしかないみたいなんですよね~。

S・シニョレは晩年は太ったおばさんになっちゃったんですが、若いころは流石に美しいです。昔の女優さんってホントきれいですよね~。shine

投稿: ごみつ | 2009年7月 4日 (土) 00時22分

pigRippleさんpig

今晩は。
私も今回「居酒屋」と「ナナ」を読むまではほとんど知りませんでしたよ。

ブログの記事のために、自分でもあれやこれや調べるので、けっこう勉強になります。pencil
ブログってそういう良い面もありますよね。

Ripple さんには、これより「死刑台のエレベーター」の方がお勧めだな~。超スタイリッシュな映画です。ジャンヌ・モローだよ!shine 音楽はマイルス・デイビスです。

投稿: ごみつ | 2009年7月 4日 (土) 00時27分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/523258/45511955

この記事へのトラックバック一覧です: ゾラの時代 3 嘆きのテレーズ:

« 追悼 マイケル・ジャクソン | トップページ | 6月に見た映画 »