2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロから今年で8年。今月に入って、2本関連テーマの映画がテレビ放映されたので見ました。
「ワールド・トレード・センター」
World Trade Center
2006年/アメリカ (監)オリバー・ストーン
(演)ニコラス・ケイジ マイケル・ペーニャ マギー・ギレンホール スティーブン・ドーフ マリア・ベロ
☆☆☆★
2001年9月11日朝、世界貿易センタービル、ノースタワーに旅客機が激突したという通報を受け、港湾警察に緊急招集がかけられる。巡査部長のマクローリン(N・ケイジ)を班長とした救助チームが結成され現場へ急行するが、ビルに潜入した直後、大音響とともにビルが崩落する・・・。
この作品は、ビルの倒壊現場から奇跡的に生還できた2名の港湾警察官の実話を描いたもの。お話の焦点は、2人の救出劇に当てられ、フラッシュバックの様に綴られる日常の風景と、彼らの無事を祈る家族の物語と、救出に当たる人達の活躍が交差しながら進行していきます。
オリバー・ストーン監督は、この事件を政治がらみの大きな視点ではなく、この惨劇に遭遇した一般人の視点から描きたかったというのは良く理解出来たのですが、それにしてもドラマに広がりがなさ過ぎるんじゃないか・・というのが正直な感想です。
9・11というアメリカ建国以来の大事件に対して、ファミリードラマだけで終わらせるのはあまりにも映画として訴えたいテーマの背景が小さすぎる。事件がどれほどのものであれ、ただの交通事故であれ、家族を失う悲しみは同じ事。誰だって辛いし、悲しい。この9・11という事件であったからこそという何かが欲しかった。ただし、自らも死ぬかもしれない現場へ、命をかけて救出に来てくれる人達の姿は、純粋に感動的です。
ラスト、事故から数年後のシーンになり、「人間がいかに悪魔の様な仕業をなす事が出来るかという事と同時に、人間がいかに崇高な存在になれるかも、この出来事で私は理解できた。」と言う、マクローリン警部補のモノローグが入るのですが、映画の主要テーマはここにあります。ただし、描き方が雑なため、どっちつかずになっている作品でした。これなら、ドキュメンタリーで十分だし、その方が心に残ると思う。
「9・11への道」
The Path To 9.11
2006年/アメリカ (監)デビッド・L・カニンガム
(演)ハーベイ・カイテル ドニー・ウォルバーグ ウィリアム・サドラー エイミー・マディガンパトリシア・ヒートン
☆☆☆★★
これはテレビドラマで実際は4時間30分以上ある作品を2時間に短縮したものでした。オリジナルはWowWowでは放映したらしい。
全世界が衝撃を受けた米同時多発テロ。なぜテロは起きたのか、運命の日に至るまでの8年半を検証したドキュメンタリードラマ。
時はさかのぼり1993年、世界貿易センタービルの駐車場にとめられていた1台の車が突然爆発し、6人の犠牲者が出た。FBIの対テロ専門家、オニール(カイテル)はパキスタンに逃亡した容疑者を逮捕する。その容疑者はイスラム原理主義の過激派とつながりがあり、オニールはウサマ・ビンラディンが黒幕だとにらむ。98年、FBIはビンラディンを逮捕、拘束してアメリカで裁判にかけようと計画する。だがクリントン大統領と政府は、なかなか実行を承認しない・・・。
これは是非、オリジナル通りの尺数で見直したい作品でした。8年前にアメリカ本土をねらうテロの萌芽があり、FBIもCIAもそれを察知していながら、上層部(特に政治家達)の事なかれ主義、責任逃れ、法制度にがんじがらめになっている事もあり、テロ作戦を壊滅させるための実行を承認しない。また、FBI,CIAともに内部にも問題がある事もわかってくる。
タリバンに対峙していた抵抗勢力の北部同盟の首領マスードが、アメリカからの支援を絶たれ、暗殺された直後に同時多発テロは発生する。CIAの諜報員は、マスードから「自分に何かあったら注意しろ」と生前に告げられていた。
アメリカで飛行機の操縦訓練を受けていた、実行犯の目星までつけていたにも関わらず、逮捕のための捜査は裁判所から却下されてしまう。
そして2001年9月11日を迎えてしまうアメリカ。FBIに愛想をつかして退職していたオニールは、それでも貿易センターを守るためにと、WTCの警備主任として再就職していた。彼は当日現場で死亡する。
ここで描かれている事のどこまでが真実なのかは、確かめるすべは私にはありません。何年か前に「シリアナ」という映画を見て、ストーリーや背景があまりにもわからなかった事にショックを受けた私は、原作となった「CIAは何をしていた?」(新潮文庫)を購入していたのですが未読のまま。これはCIA内部がいかに能力低下をおこしていたかを告発した元CIA工作員ロバート・ベアによる著作です。時間をみて必ず読もうと思っています。
この世界は恐ろしく複雑なんだろうか、それとも信じられない位、実は単純なんだろうか。私程度の頭ではこの世界が本当に理解できません。
「同時多発テロ5周年」の記事はこちらから。
http://green.ap.teacup.com/0471/15.html
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