ロレンツォのオイル 命の詩
Lorenzo's Oil
1992年/アメリカ (監)ジョージ・ミラー
(演)ニック・ノルティ スーザン・サランドン ピーター・ユスチノフ キャスリーン・ウィルホイト ローラ・リニー
☆☆☆★★★
不治の病に侵された息子を救うために奮闘する夫婦の実話を描いた作品。
銀行員のオーグスト(ニック・ノルティ)とミケーラ(スーザン・サランドン)のひとり息子ロレンツォが難病の副腎白質ジストロフィーに冒されてしまった。1980年代当時、この病気は存在が知られたばかりで、治療法はなく確実に2年以内に死を迎える病気だと医師より告げられる。
様々な医学的、法的な規制で、医者も迅速な対応をとれない中、夫婦は何の医学的知識も持たないにもかかわらず必死の努力の末、ついに新薬“ロレンツォのオイル”を生み出していく…。
監督は「マッド・マックス」のジョージ・ミラーなので驚きますが、彼はもともと医学生出身との事で、納得できました。
日本でも難病指定されている「副腎白質ジストロフィー」という病気は、母親をキャリアーとして遺伝してしまう男の子だけが発症する遺伝性疾患。病気のシステムはとても難しいので、もし興味がありましたら下記のページをご覧になって見て下さい。
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/109_2.htm
映画作品としてどうのこうの言うよりも、この作品で描かれる、治療方法を探すための夫婦の情熱の強さが全てと言って良い作品です。特に夫のニック・ノルティは、仕事の合間に図書館へ通い詰め、医学の基礎知識から勉強していきます。
夫婦自ら資金をつのり、研究者を探して、やがてつくられた新薬「ロレンツォのオイル」。この薬は劇的に症状を緩和し、多くの同じ症状で苦しむ子供達を救う事になる。ただし、失われてしまった機能をもとに戻す事は出来ず、この映画が製作された1992年当時の段階では、そのための研究が開始されたばかりの状況である事が説明されていました。
機能を失ってしまった神経系統をもとに戻すためには、中枢神経系にあり病気のために失われてしまったミエリン(髄鞘)を復元しなくてはならない。現在はどうなのだろうと思い調べてみると、未だに有効な手段が見つかっていない様でした。
ミエリン・プロジェクト(米国サイト)
http://www.myelin.org/
そして、ロレンツォの家族のその後。母親は2000年に癌のため死去。父親がその後も看病をしていたが、2008年にロレンツォは誤嚥性肺炎のため30歳で亡くなったそうです。
この病気関係のサイトをいくつか見てみたのですが、どのページにも初期症状への対応として、「ロレンツォのオイル」の存在が示唆されていて、この薬が今でも多くの患者のために活用されているのがわかります。
お涙頂戴の難病映画ではありません。もし機会があれば是非見ていただきたい作品です。
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コメント
この映画、知りませんでしたが、とてもおもしろそうですね。是非見てみたいです。
子供の難病のために、お医者さんを探したり、スポンサーを募ったり…という話は耳にすることがありますが、得体の知れない病気のことを一から調べて薬を開発してしまうなんて…時に愛の力は、これほどまでに人を動かすエネルギーになるのですね。
投稿: セレンディピティ | 2009年10月23日 (金) 11時57分
こんにちは。
この映画、劇場で観ました(サランドンのファンなもので)。あまり期待していなかったのですが(“闘病もの”が苦手なもので)、いろいろな意味で衝撃的で、夢中になって観た記憶があります。
個人的な情熱を描いた作品を観ると辟易してしまうことが多いのですが、これはひと味ちがったような……
ごみつさんのレビューを読んで、その根拠が少しだけわかった気がします。もういっぺん観てみようかな。
投稿: Tae | 2009年10月23日 (金) 12時50分
ロレンツォと聞くと、童話の「ロレンツォのカエル」を思い出します。それはともかくも難病ってやつは、原因も分らず、治療法も確立してないがゆえに難病なのですが、子供の場合は更にタイヘンです。私のやられた難病は、半数以上が子供患者なので、学校に通えず、院内学級で進学したコも少なくありません。オフ会などで延べ十数人に会いましたが、繊細な子が多かったことに驚いたものです。
私も経験があるのですが、とくかく病気を理解するだけでも大変です。大学病院に長く入院してたので、図書館に入り込んで独学で調べましたが、未だに完全なる理解は遠いです。ましてや、子供たちは大変だと思いますね。ただ、案外子供たちは適応力が強く、そのことに奇妙な安堵を覚えたのも確かでした。でも、もう少し行政が支援して欲しいと思います。近年難病への支援策が予算減で、患者や家族は苦しんでいますから。
投稿: ヌマンタ | 2009年10月23日 (金) 17時18分
セレンディピティ さん
今晩は。
この映画、見て決して損のない作品だと思いますので、もし機会がありましたら。
多くの同じ病気の子供を持つ親達が、医者にすべてを託し、精神的なケアを重要視している中、この夫婦は決してあきらめず、自分たちで調査や研究を進めていくんですよ。
唯一、涙が出たシーンは、間断なく症状に苦しみ続ける息子を抱きながら「イエス様のところに行きたい?」と母親がおもわず声にしてしまうシーンでした。
投稿: ごみつ | 2009年10月23日 (金) 20時36分
Tae さん
今晩は。
あ、これ劇場でご覧になったんですね。
映画の冒頭、アフリカの格言みたいな言葉で、「人生とは戦いである・・」みたいな言葉が紹介されるけど、それがこの作品を象徴している事が後でわかるんですよね。
普通、難病映画っていうと、手も尽くせず亡くなっていく人間と、まわりの人間たちの交流ドラマになってしまう事が多いけど、この夫婦は病気との闘いをやめないんですよね。
子供への深い愛情がエネルギーになっているとは言え、本当に凄い事だと思いました。
投稿: ごみつ | 2009年10月23日 (金) 20時40分
ヌマンタ さん
今晩は。
ヌマンタさんが闘病なさっていた時も、お子さんが多かったんですか・・・。
きっと、自身が病気と戦う中で、人へのやさしい気持ちが自然と育っていったんじゃないかしら?
それで、繊細に感じられるのかもしれませんね。
映画の中でも語られてましたが、患者数の少ない難病のための研究には、なかなか多くの予算がおりてこない様ですね。それに臨床研究の横のネットワークがうまくいってない事から発生する弊害も語られてましたが、今はネット社会なので、そのへんはかなり改良されてるのかしら・・?
投稿: ごみつ | 2009年10月23日 (金) 20時47分
ごみつさん、こんにちは。
私はこの映画を偶然テレビで見ました。2度見て、2度とも圧倒されました。我が子の難病治療の為に驚くほどの粘り強さを見せるご両親。自分が同じ立場なら、あそこまでできるかどうか…正直言って自信がない。人事を尽くして天命を待つ、と言うか、”信仰の力”もあるのかなと思いました。本当に辛い時にも、私は神と共に在る、と言う揺るぎない神への信頼と言うか…私にはそれがない…んだな。たぶん。
最近読んだ、元官僚で現在大学教授が書いた著書の中に、日本における新薬開発の難しさ、臨床試験から認可までの時間がかかり過ぎる点を憂慮する記述がありました。そのくせ、非加熱製剤の危険性を知りながら遅れた対応で薬害エイズ患者を生みだしてしまった日本の医療行政。人の生死に関わることだけに、行政の対応は慎重であると同時に迅速であって欲しい。私、新型インフルエンザワクチンも、外国産って本当に大丈夫なのかと心配。国産だって…米国も州によっては、ワクチン接種に懐疑的な所があるそうですね。
投稿: はなこ | 2009年10月24日 (土) 20時39分
はなこ さん
こんばんは!
コメント有難うございます。
実は私もだいぶ前にテレビで見て、ものすごく感動してしまった作品でした。
久しぶりでで見直してみて、ただの感動ものじゃない事がはっきりとわかりました。
医療上の様々な問題点も示唆されてるんですよね。
新薬が認可されるまでに、相当数の臨床実験を行わなければいけないところまでは、医療の立場からすれば仕方ない部分もあるだろう・・とは思います。
ただ認可までの時間は短縮できるなら(いい加減なチェックだけは避けて欲しいので)そうなるとベストですよね。
ロレンツォの場合、当人がとっても苦しんでいた事や、残されていた時間が短かった事もあって、両親もあれほどの情熱を注げたのだろうと思います。
でも、普通の人にはおてもあそこまではムリ・・ですよね。ホントに凄い人たちだな・って思いました。
投稿: ごみつ | 2009年10月24日 (土) 22時49分