映画・テレビ

丹下左膳 百万両の壺

今年は若くしてこの世を去った、山中貞雄監督の生誕100年という事で、現存する彼の作品3本がNHK・BSで放映されました。

第二次大戦中に出征先の中国で亡くなったのがわずか28歳。5年の映画監督人生で撮影した作品は26本あるのですが、フィルムが完全に残っているのはこの作品と「人情紙風船」「河内山宗春」の3本のみ。他の2本は録画をしなかったのが悔やまれています。

「丹下左膳餘話 百萬兩の壺」
1935年/日本 (監)山中貞雄
(演)大河内傳次郎 喜代三 沢村国太郎 山本礼三郎 
☆☆☆★★★

3101hyjhzpl

とある小藩に伝わるこけ猿の壺。実はこの壺に先祖が隠した百万両のありかが示されていることが判明する。だが、壺は先日江戸の道場屋敷に婿入りした弟・源三郎へ引き出物として渡してしまっていた。

何とか取り返そうと藩主の兄は手を打つが、壺はくず屋へ売ってしまった後だった。源三郎は江戸を歩きまわり壺を探すが、その途中で矢場の娘に一目ぼれしてしまう。

一方、こけ猿の壺はちょび安という子供の金魚入れになっていたが、矢場通いをしていた父親はチンピラに因縁をつけられ殺されてしまう。矢場の用心棒で、女将のお藤の夫(だと思う)の隻眼片腕の浪人、丹下左膳は、父の死をちょび安に伝え、彼を一緒に2人の子として育てていく決心をするが・・。

昭和10年の作品で、映像の状態もそれほど良くない上に、音声が聞き取りづらいのが難点ではあるのですが、ハリウッド製ウエルメイド・コメディみたいな時代劇なので、けっこうびっくりします。山中監督が夭折した天才と呼ばれるのがわかる様な気がしました。他の2本を録画しなかったのが、かえすがえす悔やまれる。

250pxtange_sazen_yowa_hyakuman_ryo_

左膳と女将のお藤が、ツンデレコンビなのがまず笑えるし、壺をめぐる、あれやこれやのバタバタシーンも、本当によく脚本が練られています。ただし、あまりにも左膳のイメージを変えすぎてしまっていると原作者の林不忘からクレームがつき、映画のタイトルには「餘話」が加えられたらしいです。

もし興味がある様でしたら、さわりを集めた動画が下記から見れます。中盤あたりの、左膳の道場荒らしのシーンでの、大河内のアクションが素晴らしいんですよ。

http://www.youtube.com/watch?v=X1GHJhTlzTM

さて、この作品は2004年にリメイクされていて、そちらも早速見比べてみました。

「丹下左膳 百万両の壺」
2004年/日本 (監)津田豊滋
(演)豊川悦司 和久井映見 野村宏伸 麻生久美子 渡辺裕之 渡辺篤志
☆☆☆★★

519ygca0k1l__ss500_

ところどころ、アレンジや設定を変えてありましたが、かなりオリジナルに忠実なリメイク。このリメイクを見て、あらためて山中作品の脚本の完成度の高さが理解できました。黒澤「椿三十郎」のリメイクと同じで、脚本をいじりさえしなければそのまま面白い作品になるっていう事の見本みたいです。

それでも、左膳を演じた豊川悦司以下、他の俳優さん達の演技もなかなか良くてとっても楽しめました。実は、「どうせ、サイテーなリメイクになってるんだろう」と意地悪な気持ちだったので、ホントに嬉しかったです。

っていうか、私、この2本を見て、すっかり丹下左膳というキャラクターが気に入ってしまいました。何だか、このキャラクターには男性のエロスを感じるわ~。特にトヨエツは、ルックスも良いもんで。coldsweats01

経文の柄の白い着物からのぞく赤い襦袢がセクシー!(笑)右腕がないので、刀を鞘から口で抜くところとかしびれちゃうんですよ~。何だか、私って危ない人?(笑)

で、あれこれ丹下左膳について調べていたら、またまた松岡正剛氏の書評サイトにぶつかった。読んでみると、「丹下左善」をはじめとした大衆時代小説について  「いまこういうものに熱中する読者がどのくらいいるのか知らないが、もしこのあたり一冊も読んでいないのだとしたら、そのくせ時代小説は司馬遼太郎このかたけっこう好きだというのなら、その不幸にこそ同情したい。」などと書いてあって、私はさもありなん!と納得した。で、林不亡の「丹下左膳」1巻目を買ってきましたが、いつ読めることやら・・・。coldsweats01

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0734.html

51ph7cvzg5l__sl500_aa240_

ね~、本の表紙のイラストもちょっとエロいでしょう~?(笑)読むのが楽しみです。

| | コメント (1) | トラックバック (0)

La Strada
1954年/イタリア (監)フェデリコ・フェリーニ
(演)アンソニー・クイン ジュリエッタ・マシーナ  リチャード・ベイスハート
☆☆☆☆

51a5ezoeqcl

人生の孤独と愛を描いた、フェリーニの傑作。

「本で読んだんだけど、世の中に無駄なものなんてひとつもないんだよ。例えば、この小石だって、きっと何かの役に立ってるんだ。君だって、ザンパノに必要とされてるのさ。」

何の取り柄もなく、生きていても仕方ないと泣きはじめたジェルソミーナ(J・マシーナ)に、サーカスで知り合った綱渡り芸人のイル・マット(R・ベイスハート)は語る。

アンソニー・クイン演じるザンパノは、胸に巻いた鎖をひきちぎる見世物をする大道芸人。家が貧しいジェルソミーナは、彼にわずかな金で売られてしまう。芸の手伝いをしながら、夜は彼の欲情を満たす相手でもあり、道具の様に扱われるが、精神薄弱で、天使の様に無邪気で優しい彼女は、どんなにひどい目にあっても、彼とともに行動をともにする。

Lastrada

しかし、ザンパノがあやまってイル・マットを殺してしまうところを目の前にして以来、ジェルソミーナはショックのためおかしくなってしまう。そんな彼女を持て余したザンパノは、ジェルソミーナを道端に残し、一人で立ち去ってしまう。

数年後、一人できままに大道芸を続けていた彼は、ジェルソミーナが身元不明のまま、死んでしまった事を知る。

その夜、泥酔した彼が、浜辺で夜空を見上げたあと慟哭するシーンは、何度見ても本当に心を打たれる名シーンです。これほどの深い心の孤独を演出したシーンは、他にはないと言っても良いくらいです。

フェリーニの愛する、サーカスや大道芸の奇妙な人々。作品の中に顔を出す天使の化身。空虚な人生の中であえぐ人々。思い起こしてみれば、私の大好きな「甘い生活」も、この初期の傑作「道」のバリエーションである事に気がつく。

粗野でケモノの様なザンパノを演じたアンソニー・クイン、おちこぼれ天使の様な綱渡り師を演じたリチャード・ベイスハートの男優2人も名演でしたが、とにかくジュリエッタ・マシーナの演技は素晴らしいの一語です。彼女はフェリーニの生涯にわたる伴侶でもあった。「ジンジャーとフレッド」で見た老齢の彼女も素晴らしかったな~。

| | コメント (3) | トラックバック (1)

イン・ハー・シューズ

In Her Shoes
2005年/アメリカ (監)カーティス・ハンソン
(演)キャメロン・ディアス トニ・コレット シャーリー・マクレーン  マーク・フォイアスタイン
☆☆☆★★★

51mf3jyshsl__ss500_

ジェニファー・ウェイナーのベストセラー小説の映画化作品。

単純なお洒落系女性映画かと思っていたのですが、姉妹同士の深い愛情と結びつき、家族のつながり、そして女性の生き方について、暖かい目線で描いたハートフルな作品で、私はとても気に入りました。

トニ・コレット演じる姉のローズと、キャメロン・ディアス演じる妹のマギーは、まったく対照的な姉妹。妹は周りが羨むスタイルと美貌を持ちながら、難読症(文字がうまく読めない)というハンディキャップから仕事も長続きせず、羽目をはずしてまわりに迷惑ばかりかけている。姉は弁護士として成功しているが、自分の容姿に自信が持てず地味~に暮らす毎日。

なかなか定職につけず、姉ローズの家に居候していた妹のマギーは、やっとできたローズの恋人を誘惑し、怒り狂ったローズに家を追い出されてしまう。実家の継母と折り合いの悪いマギーは行くあてがなく、亡くなった母方の祖母エラ(シャーリー・マクレーン)のもとを訪ね、エラが世話役をしている老人施設で働かせてもらう事になるが・・・。

トニ・コレットは体重を増やして、なんとなく冴えない女性を見事に演じています。その彼女が真に愛する男性を見つけるまでのエピソードも楽しいし、あばずれぽかったキャメロンが、老人施設で働きながら、自分自身と向き合い、本当にあった仕事を探しあてるまでの過程も楽しい。キャメロン・ディアス、シャーリー・マクレーンも好演です!

20070423_121673

姉妹の実の母親は、精神を病んだ上亡くなっていて、幼かった姉妹は心の傷を互いに支えあう事で乗り切ってきた。その絆は、どんなにひどいケンカをしても断ち切る事は出来ない。シャーリー・マクレーンは、娘の死後、とある理由から絶縁されてしまい、孫達に会えないままだったが、マギーが訪ねて来てくれた事によって、新しい家族を得る。

それぞれが、人生の中で傷つきながらも、自分にあったクツを見つけ出してゆく様が、ほのぼのとした調子で描かれている佳作でした。

Reflect_2

| | コメント (6) | トラックバック (0)

ウィンター・ソング

Perhaps Love
如果・愛
2005年/香港 (監)ピーター・チャン
(演)金城武 ジョウ・シュン ジャッキー・チュン チ・ジニ
☆☆☆★

今、入会しているDVDレンタル・ショップは改装のため商品を削減中。まだ品物の陳列も終わっていない有様で(1ケ月以上経つのに!)金城武の作品が全然見つからない!「不夜城」が見たいのに!

で、しかたなく棚でようやくみつけたこの作品を借りてみる事にしました。監督は「ウォーロード」のピーター・チャン。この作品ね~、ちょいとミュージカル仕立てで、変わった作品でした。

香港版のポスターの方が作品のイメージに近いので、こちらを。

Perhapslovevcdhk

金城武も歌います。(笑)いわゆるベタな西洋風ミュージカルなもんで、好き嫌いは物凄~~くはっきり出てしまうだろうと思いました。これが日本映画だったら、私も許さないだろうな。(笑) ファンタジーな作風で、恐らくバズ・ラーマンの「ムーラン・ルージュ」の様な作品をねらって撮っているんだろうと、私は思いました。

イメージ、わかってもらえたかしら?

貧しかった頃に恋人同士だったヒロインのジョウ・シュンと金城武は、10年の歳月を経てお互いに人気俳優になっていた。ジョウ・シュンはかつて成功のために金城を捨てて、映画監督のジャッキー・チュンのもとで成功を収める。この3人による新作ミュージカル映画の撮影がはじまり、3人はそれぞれの思いを甦らせていくが・・・。

この3人の他に狂言回しとして、「愛の天使」みたいな男が出てくるのですが、演じるのは「チャングム」に出ていた韓国人俳優のチ・ジニです。(中国語も喋るし、歌い、踊ります。がんばってます。)

一味違う、恋愛映画にしたかった意気込みは買うのですが、いかんせん、あまりにもベタにどろ臭すぎて、ちょっとな・・・な作品でした。でも、ラストは、なかなか良い終わり方だなは思いました。

もし見ようかな・・と思った方がいらしゃいましたら、覚悟の上借りてきてみてね。(笑)

日本版ポスター(この写真だと確実に普通の恋愛映画だとだまされるよね)

517j9qilupl

金城武はハンサムshineすぎる!映画からちょっと浮き気味でした。

1f238a6a

| | コメント (4) | トラックバック (0)

パリは燃えているか?

Is Paris Burning? / Paris Brule-T-Il?
1966年/アメリカ・フランス (監)ルネ・クレマン
(演)アラン・ドロン ジャン=ポール・ベルモンド シャルル・ボワイエ シモーヌ・シニョレ レスリー・キャロン イブ・モンタン ジャン=ルイ・トランティニャン ジャン=ピエール・カッセル ミッシェル・ピッコリ  ゲルト・フレーベ オーソン・ウェルズ グレン・フォード カーク・ダグラス アンソニー・パーキンス ロバート・スタック ジョージ・チャキリス
☆☆☆★★

1c684cdbb7888d95d325701254b1819f

第二次世界大戦末期、敗色濃厚なドイツ軍は内部分裂を始め、1944年7月にはヒトラー暗殺も企てられた。追い詰められたヒトラーは常軌を逸したパリ破壊命令を下す。「パリを敵の手に渡すときは、廃墟になっていなければならない!」

ナチス占領下のパリは街中に爆薬を仕掛けられ、ドイツ軍フォン・コルティッツ将軍の命令一下で吹き飛ぶ、まさに風前の灯ともいうべき状況にあった。エッフェル塔、凱旋門、ノートル=ダム寺院、ルーヴル美術館、あらゆる歴史的建造物が消滅する危機にあった花の都は、いかにして廃墟となる運命を免れたか? 第二次世界大戦における劇的パリ解放の真実を描いた、二十世紀最高のドキュメント。(早川書房 解説より)

原作の翻訳は早川書房より上下巻で出版されていて、かなり以前に購入していたのですか、私にはけっこう読みづらく途中で投げ出してしまっていました。coldsweats01

この映画は、このドキュメンタリーをもとに映画化されたセミドキュメンタリーの様な作品で、フランスを中心にオールスターキャストです。特にフランスからは当時の一級の俳優が総出演の感があります。セリフはオールフランス語。オール英語のバージョンもある様なのですが、英語よりはフランス語の方が良いとは思ったものの、出来れば該当国はその国の言葉で喋ってもらいたかったな~。

この作品で、最も強烈な印象を残すのは、パリ総司令官に選ばれたコルティッツ将軍の苦悩の描写です。彼が、ヒトラーから直々に命令を下されたのは、暗殺計画のあった(トム・クルーズの「ワルキューレ」ね)直後で、コルティッツはヒトラーの精神がおかしくなってしまっているのを直感する。

パリ総司令官に就任後、ドイツの敗戦は決定しているのに、パリを廃墟にするという愚行を犯し、歴史的犯罪人になるのを避けたい彼は、出来うる限りの手を打つが、レジスタンスの暴動を抑えきれず、窮地に立たされる。

このあたりの彼の苦悩を、コルティッツを演じたゲルト・フレーベは完璧なまでに演じていました。名演だと思います。パリ市内のあらゆるライフライン、歴史的建造物への爆薬の設置はすべて終了していて、コルティッツの命令だけを待つ状態になっているが、上からの命令に背き、彼はゴーサインを最後まで出さなかった。

中途で投げ出してあった、原作本をひっぱり出してきて、コルティッツに関するところだけを読んでみたのですが、とにかく司令官が彼でなかったら、もっともと早い時期にパリは焦土と化していたのは間違いないと痛感しました。

連合軍は、パリ解放のための行動をする予定ではなかったものの、レジスタンスの要請を受け、パリへフランス軍を進軍させる決定をし、パリは破壊をまぬがれた。

ラストシーン、連合軍によるパリ解放の喜びに市民が沸き立っている中、ドイツ軍司令部の電話から「パリは燃えているか!?」とヒトラーの怒声が聞こえてくる。

763pxcrowds_of_french_patriots_line

映画では、ドゴールに関する事などがかなりはしょられているのが残念。いずれ折を見て、原作本も読めれば・・と思っています。

アメリカの俳優陣はあまり見せ場なし。フランス陣では、ナチスのスパイになっているジャン=ルイ・トランティニャンが良かった。彼はいつでも、とっても良いのよね~。

| | コメント (4) | トラックバック (0)

沈まぬ太陽

2009年/日本 (監)若松節朗
(演)渡辺謙 三浦友和 松雪泰子 鈴木京香 石坂浩二 宇津井健  香川照之 加藤剛
☆☆☆★★

1
http://shizumanu-taiyo.jp/

山崎豊子の原作を映画化した3時間22分の大作。途中で10分の休憩が入ります。

巨大企業・国民航空の労働組合委員長を務める恩地(渡辺謙)は、職場環境の改善を目指し会社側と戦うが、懲罰人事で海外赴任を命じられてしまう。パキスタン、イラン、ケニアと次々と転勤を強いられた恩地は、10年後に本社復帰を果たすが、帰国後間もなく自社のジャンボ機が御巣鷹山に墜落するという事件に直面する。

この作品、「フィクションであり、全ての名称が架空のもで、実在するものではない」と言っていますが、日本航空の話以外の何物でもありません。映画化にあたって、角川本社や、原作者の山崎豊子氏に、日航から映画化阻止のための圧力があったらしいです。

今、日本航空はただでさえ大変なのに、この作品の上映はさらなる痛手になるかもしれないな・・と少し気の毒になりました。そして、山崎豊子氏の取材力とそれを作品に仕上げる筆力には本当に圧倒される思いがしました。

主人公、恩地のモデルとなった小倉寛太郎氏の講演会をだいぶ前に聞かせていただいた事があり、お話の背景に関してはおおまかには頭に入っていたのですが、今回、映画を見て、当時の政界との関係なども幾分かは知る事が出来ました。加藤剛演じる利根川総理は中曽根総理大臣、道塚運輸大臣は三塚博、竹丸福総理は金丸信に間違いない。それと、御巣鷹山の事故の後で、総理任命で国民航空の会長職についた石坂浩二演じる国見会長は、カネボウの社長だった伊藤氏です。

とにかくお話が面白いので、3時間以上の長丁場をまったく退屈する事なく見る事ができますが、この映画の面白さはとにかく原作の力です。映画としては、説明不足なシーンが多く、人物の行動に疑問を生ずるシーンも少なくない。そのあたりは、恐らくはこういう背景があるのだろう・・と推察するしかなく、文庫で5冊に及ぶ大作を1本の作品に押し込んでいるため仕方がないのか・・とも思う。それと、けっこうベタな盛り上げシーンも多く、もっとスッキリと描けば良いのに・・と不満に感じたりもしました。

ただし、恩地を演じる渡辺謙の演技が素晴らしいので、彼が対面する様々なシーンで、感動してしまいます。

1_2

御巣鷹山の事故が起きて、彼は遺族お世話係になるのだけれど、どれだけ大変だったかは想像を絶するものがありました。

Smt_sb4_large Smt_sb2_large

長丁場ながら駆け足の作品。原作を読まなければダメだな・・と痛感し、今日、早速1巻目を購入。作品の中味に関する感想はそちらに預けたいと思います。

小倉寛太郎氏は2002年にお亡くなりになられたとの事。最晩年に貴重なお話しがうかがえて、本当に良かったと思いました。

| | コメント (8) | トラックバック (0)

10月に見た映画 Featuring ライラの冒険

憑神
2007年/日本 (監)降旗康男
(演)妻夫木聡 夏木マリ 佐々木蔵之助 赤井英和 石橋蓮司 香川照之 西田敏行 江口洋介
☆☆☆

326724_02_01_02

時は幕末。別所彦四郎(妻夫木)は、下級武士とはいえ、代々将軍の影武者をつとめてきた由緒ある家柄の出。しかし戦のない平和な世においては影武者の出番などあるはずもなく、毎日暇をもてあますばかり。出世はもはや神頼みしかないと、すがる思いで祈ったお稲荷はなんと災いの神をよびよせるお稲荷様だったため、彼は順番に貧乏神・疫病神・死神に取り憑かれていくが・・。

原作、浅田次郎。監督は降旗康男で「鉄道員」のコンビですが、何これ?って感じの作品でした。たぶん原作はもうちょっときちんとした作品だろうな・・という感触はありました。恐らく監督がこの手の作品をこなす能力がなかったのだろうと思う。降旗監督と高倉健の「冬の華」が大好きな私としてはがっかりな作品でした。それと妻夫木くんの顔が侍にしては可愛いすぎる。

ヴァージン・スーサイズ
The Virgin Suicides
1998年/アメリカ (監)ソフィア・コッポラ
(演)キルステン・ダンスト ハンナ・ホール ジェームズ・ウッズ キャサリン・ターナー ジョシュ・ハートネット マイケル・パレ ヘイデン・クリステンセン スコット・グレン
☆☆☆★★

2d50eb6709a0b541f4692110_l

1970年代、アメリカ郊外の静かな住宅地。両親は保守的で厳しいが、何不自由なく暮らす美しい5人姉妹の末娘が自殺を図る。そしてその死から1年も経たないうちに、残りの姉妹もすべて自殺してしまう…。姉妹に憧れていた少年たちが回想する形を取りながら、少女の危うさとエロチシズムを繊細な映像と音楽で描く。

ソフィア・コッポラ監督のデビュー作。悪くはなかったのですが、どうもしっくりこないものを感じた。最初に自殺してしまう末娘以外の心情が、よく理解できなくて・・。これは原作の小説(和訳 「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 」)があります。

ところでこの作品の中のAirの"Playground Love"っていう曲が私は物凄く気にいってしまいました!。今度、彼らのアルバム何か買ってみようかな~。

http://www.youtube.com/watch?v=eLnrXNXO1FE


エアフォース・ワン
Air Force One
1997年/アメリカ (監)ウォルフガング・ペーターゼン
(演)ハリソン・フォード ゲイリー・オールドマン グレン・クローズ ウィリアム・H・メイシー ディーン・ストックウェル ユルゲン・プロフノウ
☆☆☆★★

503311

大統領機「エアフォース・ワン」がG・オールドマン達テロリストに乗っ取られる。かつて戦場では英雄だった大統領のH・フォードは、「ダイ・ハード」ばりに孤独な戦いを始めるが・・!

私、どういうワケかこの作品を今まで見ていなくて、今回やっとテレビで見ました。面白いです。細かい事にいちいちつっこまなければ十分楽しめる佳作でした。ハリソン・フォードも彼らしくて良いし、ゲイリー・オールドマンも近頃はめっきり見られなくなったいっちゃてる役でステキです。

ライラの冒険 黄金の羅針盤  crown お勧め!
The Golden Compass
2008年/アメリカ (監)クリス・ワイツ
(演)ニコール・キッドマン ダコタ・ブルー・リチャーズ サム・エリオット エヴァ・グリーン クリストファー・リー ダニエル・クレイグ (声)イアン・マッケラン フレディ・ハイモア
☆☆☆★★

44e6efa0

私、この作品気に入った。この手のファンタジー特撮映画にはもう飽きている事もあったし、大した事ない作品が多いので無視してたのですが、劇場に行けば良かった。特撮そのものは普通ですが、この作品の世界観が気に入ったからです。ホントは一つの記事にしたかったのですが、月もあけてしまったので・・。

原作はフィリップ・プルマンの人気ファンタジー「ライラの冒険」三部作の第1作目。この世界にはいくつものパラレルワールドがあり、この作品での世界では、人間の魂は動物の姿をしたダイモンと呼ばれる精霊に宿っていて、その人間と片時も離れる事はない。世界は「教権」が支配しており、彼らがひた隠しにする「ダスト」と言う物の正体を、アスリエル卿(D・クレイグ)は探り出そうとし、白クマの支配する北の世界へ探検に出る。

物事の真実を指し示す「真理計」(黄金の羅針盤)を手に入れた主人公の少女ライラは、伯父のアスリエル卿が旅だった後に、思いがけない冒険の世界に足を踏み入れる事になるが・・。

お話はけっこう入り組んでいるのではしょりますが、知らないで見た方が楽しいと思います。早く続編の「神秘の短剣」が見たいな~。同じキャストでちゃんと製作されるかしら?謎がたくさん残されたままなのでつくってくれないと困るぞ~。(笑)

以下、主要キャストの写真とダイモン達。

Goldencompass726436 Daniel_craig_in_his_dark_materials_ Eva_green_in_his_dark_materials__th Nicole_kidman_in_his_dark_materials Scoresby_1024

シロクマの勇者、イオレク・バーニソン(声はイアン・マッケランです。)

The_golden_compass_still

| | コメント (2) | トラックバック (0)

ユメ十夜

2007年/日本
☆☆☆

51gc3n2matl

いわずと知れた、夏目漱石の「夢十夜」を10人の監督がてがけたオムニバス作品。けっこう、楽しみに借りてきたのですが、もうはっきり言って、「どうすれば映画をつまらなく出来るか」という見本にしたい様な作品でした。日本映画の悪いところの展示会みたいな作品でもあります。

で、私、あんまりネガティブな感想を書きたくない方なので、ホントなら「10月に見た映画」でサラリと終わらせたいのですが、とにかくスタッフとキャストの人数が多いので、ここでまとめておく事にしました。

もうね~、記事にするからには言うぞ~、私は!(笑) そのために、「夢十夜」再読しました。準備万端だ!

第一夜
(監)実相寺昭雄 (演)小泉今日子 松尾スズキ
女が「もうじき死にます。100年待ってて下さい。」って言う話。
私は、初期のウルトラ作品以外の実相寺作品が好きじゃないので、これもダメ。

第二夜
(監)市川崑 (演)うじきつよし 中村梅之助
和尚に「侍なら悟りをひらけ!」とバカにされる話。
モノクロ。さすがに映像自体は完ぺきに美しい。サイレント作品になっているのも面白いし、原作にとても忠実。ただあまり面白味がないな・・と。

第三夜
(監)清水崇 (演)堀部圭亮 香椎由宇
多分、「夢十夜」の中で一番有名な話。おぶった自分の子供が、100年前に殺した男の生まれ変わりだった話。
「呪怨」の清水監督によるホラーになっている。ちょっとお話が肉付けされてるのが無用な感じ。そう悪くはないが安っぽい感じが否めない。堀部圭亮はなかなか良かった。

と、はや3本で少しがっかりしていたのですが、それはとんでもなかった!これ以降はひどい事になっていきます。2夜なんてこの中では不朽の名作だよ。

第四夜
(監)清水厚 (演)山本耕史 
「手拭を蛇に変えるよ」と笛を吹きながら海に入っていくお爺さんの話。
このお爺さんの存在だけを使った別物の話になっていたが、まったく面白くない!飛行機が墜落、炎上したりする。なんじゃ、こりゃ。

第五夜
(監)豊島圭介 (演)市川実日子 大倉孝二
敵の手に落ち、死ぬ予定だが、一番鶏が鳴くまでの猶予で愛する女に会う事を許される話。
これさ~、設定を現代に変えて、ストーリーもまったく変えているのは良いんだけど、気持ち悪い分身がマヌケで何これ?って感じ。ニワトリが鳴くシーンだけをいただいてるんだよね。(分身が鳴くのだが)

第六夜
(監)松尾スズキ (演)阿部サダヲ 石原良純
仏師の運慶の話。
これは、つぼにはまればかなり笑える出来栄えなのは感じたけど、ここまででかなりうんざりしてきている私は、素直に笑えない。ただ、ラストの石原良純のシーンはさすがにおかしかった。

第七夜
(監)天野喜孝 河原真明 アニメーション

326058_01_07_02
大きな船で航海しているのにうんざりし、海へ身を投げるが後悔する話。
これは一服の清涼剤の様な作品だ。こういう時アニメーションは本当に良い。役者達のワケわからない演技を見なくて済むだけでもどれだけ助けられるか。しかもアニメーションは「タツノコプロ・キャラクターデザイン」で有名な天野氏!セリフはすべて英語です。

第八夜
(監)山下敦弘 (演)藤岡弘 山本浩司
床屋の話。原作はもの凄く短くてほとんど事件が起こらないので、この映画はまったくの新しいストーリーにしてしまっている。藤岡弘のキャラを中心にしたいのだろうと言う事だけはわかったけど、後は意味不明。

第九夜
(監)西川美和 (演)緒川たまき ピエール瀧
夫が死んでいるのも知らず神社で願掛けする妻の話。
設定を第二次大戦中に変えてある。だから何?って感じ。願掛けする女の艶っぽい姿を描きたかったのか?西川監督なのに、ホントがっかりだよ。

第十夜
(監)山口雄大 (演)松山ケンイチ 本上まなみ 石坂浩二 安田大サーカス

326058_01_10_02
豚と戦う話。
悪趣味、お下劣、ばかばかしいの極みの作品。ま、これがこの監督の持ち味の様だから仕方ないんだろうが。

プロローグ(明治)とエピローグ(現代)には戸田恵梨香が出てきます。

こんでお終い。そしてお約束のどう~でも良い歌謡曲風テーマソングが流れてきて、この映画に最後までつきあったやるせなさに最後の鉄槌がおりてきます。一夜で流れてた「ツィゴイネル・ワイゼン」でも流せば良いじゃないか!?せめて、六夜で運慶が踊ってたテクノミュージュックを流すとかさ。なぜ、歌謡曲なんだ~~~!?最低だよ、ホント。

とにかく、夢の世界の様なアヴァンギャルドな世界というのは、いかに映像化するのかが難しいかがよくわかった気がしました。皆、それぞれ、それなりの感性で、あれこれ工夫をして、自分らしい映像美を演出したかったんだろうが、ことごとく失敗していると思う。少なくとも私の感性では。

レビューを見ていると、「よくぞここまで漱石を冒涜できるものだ」という感想が多かったけど、その辺は別にかまわないと、私は思った。なにしろ夢の中での出来事だから、基本的には何でもありなんですよね。チャレンジしてみる事自体は決して悪い企画ではないと思うし。

ただ、ただ、「レベルが低い」としか言えないのが辛いところです。
もう、漱石の原作とは全くの別物だと思えば腹もたちません・・っていうか、久しぶりで再読した「夢十夜」は、素晴らしいの一語でした。本も後で記事にしようと思います。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

LOVERS

十面埋伏
2004年/中国 (監)チャン・イーモウ
(演)チャン・ツィイー 金城武 アンディ・ラウ ソン・タンタン
☆☆☆★★

Lovers_poster

全盛を極めた唐王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国。世間では“飛刀門”なる反乱軍が民衆の支持を得て勢力を拡大していた。飛刀門一派の壊滅に乗り出した王朝側は、捕吏の瀏(アンディ)と金(金城)に飛刀門のリーダー拘束を命じる。瀏は遊郭で評判を呼んでいる盲目の踊り子、小妹(チャン)が飛刀門の一味とにらみ、遊郭の客になりすました金を送り込む。首尾良く娘を捕えるが、小妹の口が堅いと知った瀏は、今度は金に小妹の脱獄を手助けさせ、彼を反乱戦士と信じ込ませて飛刀門のアジトへ案内させるよう仕向けるのだったが…。

↑ 映画のポスター、中国版の方がステキだったのでそっちをチョイス。アンディの着てる、唐の朝廷軍の衣装がなかなか良いんですよ~。

この作品、お話が二転三転する上に、トリッキーな展開になっていくので、ストーリー上の詳しい感想は避けますが、結局この映画の一番の見どころは様式美の様な美しいアクションと、目をみはるほど美しい映像、そして主演3人のからみにあります。

私、イーモウ監督の前作「Heroes」(ジェットが出てる!)がけっこうお気に入りなので、同じ系統のこの作品も決して嫌いではないのですが、何だかどうもしっくりこない感じも残りました。一番ネックになったのは、金城武とチャン・ツィイーがどうしようもなく魅かれあってしまうまでの過程の描き方に濃密なものが感じられなかった事。

Lovers1_3

ここは最も官能的なシーンなのですが。金城武、ビックリするほど美しい表情の時があるんですよ~!

後、不満だったのはラストの展開がしつこい事。何段階にもひっぱり過ぎだと感じました。

とは言え、けっこう楽しめた作品ではあります。一番のお気に入りシーンは、冒頭の遊郭でのチャン・ツィイーによる「仙人指路」のシーン。彼女はバレエをやっていた事もあって、体が柔らかくてアクションも美しい。

Lover0_2

「仙人指路」って、音を出した太鼓の位置を当てて、同じ太鼓に触れるゲーム(?)みたいなのなんですが、これって何の遊び?遊郭での遊び?ネットで調べてみたのですが、ほとんどが中国語のサイトで結局不明。知ってる方いらっしゃたら教えて下さい~~。

この後の、アンディとチャン・ツィィーの戦いのシーンも美しくて良いんですよ~。

竹やぶの中のシーンとかは、色彩は物凄くきれいなんだけど、あまりにもムリめなアクションが気になった。これは「グリーン・デスティニー」でも同じ事感じたんですよね。

ともあれ、主演の3人の演技も含めて、楽しめた作品ではありました。とにかく、この作品はストーリーよりも「映像ありき」の作品です。

0728lovers

カンヌでの3人。こういう写真見ちゃうと、「よくがんばったよな!」(笑)と思っちゃう、ミーハーな私です。

| | コメント (6) | トラックバック (0)

ロレンツォのオイル 命の詩

Lorenzo's Oil
1992年/アメリカ (監)ジョージ・ミラー
(演)ニック・ノルティ スーザン・サランドン ピーター・ユスチノフ  キャスリーン・ウィルホイト ローラ・リニー
☆☆☆★★★

51qsvdi3rxl

不治の病に侵された息子を救うために奮闘する夫婦の実話を描いた作品。

銀行員のオーグスト(ニック・ノルティ)とミケーラ(スーザン・サランドン)のひとり息子ロレンツォが難病の副腎白質ジストロフィーに冒されてしまった。1980年代当時、この病気は存在が知られたばかりで、治療法はなく確実に2年以内に死を迎える病気だと医師より告げられる。

様々な医学的、法的な規制で、医者も迅速な対応をとれない中、夫婦は何の医学的知識も持たないにもかかわらず必死の努力の末、ついに新薬“ロレンツォのオイル”を生み出していく…。

監督は「マッド・マックス」のジョージ・ミラーなので驚きますが、彼はもともと医学生出身との事で、納得できました。

日本でも難病指定されている「副腎白質ジストロフィー」という病気は、母親をキャリアーとして遺伝してしまう男の子だけが発症する遺伝性疾患。病気のシステムはとても難しいので、もし興味がありましたら下記のページをご覧になって見て下さい。

難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/109_2.htm

映画作品としてどうのこうの言うよりも、この作品で描かれる、治療方法を探すための夫婦の情熱の強さが全てと言って良い作品です。特に夫のニック・ノルティは、仕事の合間に図書館へ通い詰め、医学の基礎知識から勉強していきます。

Lorenzosoil_l

夫婦自ら資金をつのり、研究者を探して、やがてつくられた新薬「ロレンツォのオイル」。この薬は劇的に症状を緩和し、多くの同じ症状で苦しむ子供達を救う事になる。ただし、失われてしまった機能をもとに戻す事は出来ず、この映画が製作された1992年当時の段階では、そのための研究が開始されたばかりの状況である事が説明されていました。

機能を失ってしまった神経系統をもとに戻すためには、中枢神経系にあり病気のために失われてしまったミエリン(髄鞘)を復元しなくてはならない。現在はどうなのだろうと思い調べてみると、未だに有効な手段が見つかっていない様でした。

ミエリン・プロジェクト(米国サイト)
http://www.myelin.org/

そして、ロレンツォの家族のその後。母親は2000年に癌のため死去。父親がその後も看病をしていたが、2008年にロレンツォは誤嚥性肺炎のため30歳で亡くなったそうです。

この病気関係のサイトをいくつか見てみたのですが、どのページにも初期症状への対応として、「ロレンツォのオイル」の存在が示唆されていて、この薬が今でも多くの患者のために活用されているのがわかります。

お涙頂戴の難病映画ではありません。もし機会があれば是非見ていただきたい作品です。

Oil

| | コメント (8) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧